「本日、うちの主人の初盆なんです」
NHKドキュメント72時間のスペシャルで、長崎のお盆が紹介されていた。
長崎の盆は、花火をすることで亡き人を送るらしい。
そんな中、一人の女性を見て、久しぶりに泣いた。
人の死を弔う盆、長崎でどのようなことが行われているのか、家族を亡くした人たちの印象的なシーンを書いていく。
1. 長崎の盆は花火でにぎやか
テレビでは花火屋が紹介されていた。
長崎は、盆に花火をする習慣があるという。
そのため、盆の休みになると、花火屋のなかは人でいっぱいになる。
爆竹が売れ筋で、一気に200箱も買っていく人もいた。
また、初盆の家族は、精霊船(しょうろうぶね)を作り、亡くなった人を見送る。
実際に、お盆の夕方の市内が放送されていて、大きな音と閃光、雰囲気で涙・悲しみを埋めるかのように、気持ちを顔に滲ませる人の姿があった。
2. 精霊船を作るある家族
広場で、初盆をむかえた家族が精霊船を作る姿が映し出されていた。
印象的だったのは主人を亡くした女性だった。
「一緒にいて落ち着く人でした」と、亡き主人の写真をみながら主人について語る女性。
それは、テレビカメラを向けられ、外の表情で取材に答えていたけれど、感情が消化しきれていないような面持ちだった。
それを見た僕は、なぜか感情移入してしまった。
この番組とは一切関係がないけれど、もし、自分が結婚し、愛する人との数十年に及ぶ日々を送った中で早逝してしまう。
すると、その愛する人がテレビでうつる女性のような感情を抱くと思うと、他人事とは思えなかった。
3. 死への感情が感化
これは、妻と夫の関係だけでなく、家族を亡くした取材に答えていた人たちにも言えることだ。
彼らは、テレビと言う公的なものに対しては感情をあらわにしない。
しかし、愛する存在が、ある日を境にこの世からいなくなる。
そのような出来事を数年以内に体験しており、「死」を避けられない僕も、死への感情が感化させられた。
また、母を亡くし、精霊舟を作っていた兄弟の兄が、初盆で花火が轟々と散っていくさなか、涙を流した。
顔つきも端麗で、男らしい方が喧騒の中で目が潤う。
その瞬間、愛する人の思い出や死から今までの思いが一瞬のうちに頭の中を駆け巡っていたのだろう。
「死」「死別」とは無関係でない僕も、大きな音で華やかに散る花火を横目に涙を流してしまった。
最後に
ドキュメント72時間で、長崎のお盆が紹介されていた。
岩手県のお盆は、先祖の墓参りをしたり、親せきが本家に来て食事を共にする。
普段の食事で見たことのないような菓子や食べ物を、墓に供えることもある。
そのため、花火で亡き人を弔う長崎のお盆は印象的だった。
「死」というものに対して、深く考えさせられた放送だから、ぜひおすすめしたい。
他のコンテンツ▼