僕が初めて三島の地へと足を踏み入れた時、この街に名前をつけるなら「川の街」だと思った。
ヴェネチアが水の都なら、三島はそう呼ばれるべきだ。
岩手県出身の僕が静岡県で初めて足を踏み入れた地が「三島」だった。
一番印象に残ったのが「源兵衛川(げんべえがわ)」だ。陽光をキラキラと反射し、清らかに流れるあの川は「清流」と呼ぶのにふさわしい。
岩手県出身の僕は近くに「北上川」が流れているけど、源兵衛川には北上川とは違った美しさがある。
この水流に沿って、自然と街道が溶けあう道を進む。源兵衛川の流れに沿って郊外へと進むと、あるお店に目を奪われた。
そのお店は、「メロンパン」と可愛らしい文字の看板が掲げられているパン屋さんだ。店頭に並べられているメロンパンは色とりどりで、食欲がそそられる。
そしてこのパン屋さんに、僕は2度目の三島旅行で訪れることとなる。
このように、源兵衛川に沿って住宅や田んぼやお店が賑わっていた。この川は長い年月をかけて、動植物に多くの恩恵をもたらしてきたのだろう。
また、源兵衛川の透き通った水を見ていると、日々のストレスが溶けていく。川の中に石が点々と並べられていて、木々の緑で覆われたカーテンに囲まれて歩く。
こんな幻想的な世界を見て、まるで現世に天国があるのではないかと錯覚してしまう。
僕はすっかり源兵衛川に惚れてしまったようだった。
さらに、この源兵衛川は富士山の湧き水と聞き、日本を代表するあの白々とした山から流れる血液を手ですくってみる。
三島に行ったのは10月終わりで、触れた水はキンキンと冷えている。
10月終わりにも関わらず、太陽が照りつける青空の元、この冷え切った水は気持ちがいい。
岩手の10月といったら肌寒い日もポツポツと出てきて、半袖は押入れ行きとなる。隣の芝生は青く見える僕も、この暖かい地方で暮らす人々とこの清流に嫉妬してしまった。
三島で多くの場所やお店を巡ったけど、一番印象に残っているのがこの「源兵衛川」だ。お寺でなくても、ついコインを投げ入れてしまいそうなほどの神聖さがある。
快晴という最高の天気もあいまって、「三島は美しい川の街」というイメージが僕の記憶に刻まれた。生涯、あの美しさに感嘆した思い出は忘れられない。
彼女の故郷ということで何気なく旅した土地だったけど、岩手県出身の僕は源兵衛川の魅力に触れ、自分の中で消化しきれないほどの好きが溢れ文章に書くしか気持ちを抑える術はなかった。
このような誰かに伝えたくなるほど魅力あふれる街「三島」に、これからも僕は何度も足を運んでしまうだろう。